みなさまこんにちは、いちまるです♪
保険制度は国によって驚くほど異なることをみなさまはご存知でしょうか。
同じ「保険」という言葉を使っていても、その仕組み、カバー範囲、国民の加入率、そして文化的な受け止められ方まで、国境を越えると大きく変わるのです!!
特に興味深いのが日本の保険事情です。
生命保険文化センターの調査によると、日本の生命保険世帯加入率は87.4%(2022年)と非常に高く、世界でもトップクラスの保険大国なんです!
一人あたりの保険料支出も年間約30万円と、アメリカの約25万円、ドイツの約22万円を上回っています。なぜ日本人はこれほどまでに保険に熱心なのでしょうか?
今回は、世界各国の保険制度を比較しながら、日本の保険制度の特殊性を探っていきましょう(*’▽’)
公的保険の国際比較

世界の医療保障システムの類型
世界の医療保障システムはどのようなものがあるのか気になりませんか?
…え?気になりませんか?そうですか…でもいちまるは気になりました。
なので、調べました(*’▽’)
大きく分けて3つのタイプに分類できるみたいですね!
- 社会保険方式(日本、ドイツ、フランスなど):保険料を主な財源とする
- 税方式(イギリス、北欧諸国など):税金を主な財源とする
- 民間保険中心方式(アメリカなど):民間保険を基本とし、公的保障は限定的
それぞれの国の医療費対GDP比率と公的保障の割合を見てみましょう!
国名 | 医療費対GDP比率 | 公的保障の割合 | システム類型 |
---|---|---|---|
日本 | 10.9% | 84.2% | 社会保険方式 |
ドイツ | 12.6% | 85.0% | 社会保険方式 |
フランス | 12.2% | 83.7% | 社会保険方式 |
イギリス | 12.0% | 80.6% | 税方式 |
スウェーデン | 11.4% | 85.2% | 税方式 |
アメリカ | 17.8% | 50.6% | 民間保険中心 |
出典: OECD Health Statistics 2023
アメリカの民間保険中心モデル
アメリカは先進国で唯一、国民皆保険制度を持たない国だそうで。。。
医療保険は主に下記のようなものがあるみたいですね~
- 雇用主提供の民間保険:就労者の約55%がカバー
- メディケア:65歳以上の高齢者向け公的保険
- メディケイド:低所得者向け公的保険
- オバマケア(ACA):民間保険加入を促進する制度
アメリカの特徴は、有名な話かもしれませんが、医療費が非常に高額であることです。。。
同じ手術でも、日本の3〜10倍の費用がかかることも珍しくありません!
例えば、虫垂炎の手術費用でみていくと…やはり金額差が目立ちます。
- 日本:約30万円(公的保険適用後の自己負担は約3万円)
- アメリカ:約250万円(保険なしの場合)
イギリスのNHS(国民保健サービス)
イギリスは、1948年に設立された国民保健サービス(NHS)を中心とする税方式の医療制度を採用しています。
特徴はこんな感じです!
- 原則として医療サービスは無料(税金で賄われる)
- かかりつけ医(GP)制度が確立
- 専門医への受診はGPの紹介が必要
- 待機時間の長さが課題(例:膝関節置換手術の平均待機期間は約18週間)
ドイツの社会保険方式
ドイツの医療保険制度は日本と似ていますが、簡単に違いを見ていきましょうか。
- 公的保険と民間保険の2本立て
- 年収が一定額(2023年は約6.4万ユーロ)を超えると民間保険を選択可能
- 公的保険の保険料は所得の約14.6%(雇用主と被保険者で折半)
- 公的保険でも医師への直接支払いが必要(後で保険者から償還)
北欧諸国の手厚い社会保障
スウェーデンやデンマークなどの北欧諸国は、税金を財源とする普遍的な医療アクセスを提供しています。
- 医療は原則として無料または低額
- 高額な所得税(最高税率は約55〜60%)で運営
- プライマリケアの充実と予防医療の重視
- 待機時間の管理に関する明確な基準(例:スウェーデンの「ケアギャランティ」)
日本の公的保険制度の特殊性
国民皆保険制度の成り立ち
日本の国民皆保険制度は1961年に完成し、世界に先駆けて全国民をカバーする医療保険制度を実現しました。
当時の日本のGDPは現在のタイやマレーシア程度であり、経済発展途上での達成は国際的に見ても特筆すべき成果でした。
日本の医療保険の二本立て構造
日本の公的医療保険は大きく分けて2つに考えることができます。
そう、みなさまもご存知の通りですね。
- 被用者保険(健康保険組合、協会けんぽなど):会社員とその家族が対象
- 国民健康保険:自営業者、無職の人などが対象
実は、この二本立て構造、世界的に見ても珍しいシステムです。
日本の公的保険の国際的な特徴
日本の公的保険制度の特徴を国際比較で見ると、、、
- フリーアクセス
欧米の多くの国ではかかりつけ医制度が普及していますが、日本では専門医に直接かかることが可能 - 低い自己負担率
一般的に医療費の30%(高齢者は10〜20%)と定率制 - 高額療養費制度
月単位で自己負担額に上限を設ける仕組みは国際的にも珍しい - 現物給付
多くの欧州諸国では一旦全額支払い、後で償還される方式が一般的
介護保険制度の先進性
日本は2000年に世界に先駆けて公的介護保険制度を導入しました。
高齢化率が28.7%(2022年)と世界最高水準の日本では、この制度が非常に重要な役割を果たしています。
国名 | 介護保険導入年 | 65歳以上人口割合(2022年) | 制度の特徴 |
---|---|---|---|
日本 | 2000年 | 28.7% | 社会保険方式 |
ドイツ | 1995年 | 22.2% | 社会保険方式 |
韓国 | 2008年 | 17.5% | 日本をモデルとした社会保険方式 |
オランダ | 1968年 | 20.1% | 特別医療費保険として導入 |
アメリカ | なし | 16.8% | 民間介護保険または自己負担が中心 |
出典: 内閣府「令和5年版高齢社会白書」、World Bank Data
民間保険市場の国際比較

生命保険普及率の国際比較
生命保険の普及率を示す指標として、生命保険料のGDP比を見てみましょう。
国名 | 生命保険料のGDP比 | 1人あたり生命保険料 |
---|---|---|
日本 | 6.8% | 約30万円 |
イギリス | 7.2% | 約27万円 |
フランス | 5.7% | 約23万円 |
アメリカ | 3.1% | 約25万円 |
ドイツ | 2.6% | 約22万円 |
中国 | 2.3% | 約3万円 |
出典: Swiss Re Institute, Sigma No.4/2023
日本は生命保険への支出が非常に高く、特に医療保険やがん保険などの第三分野保険の普及率は世界でも突出しています。
各国の特徴的な保険商品
国によって人気の保険商品は大きく異なります!!
- 日本:医療保険、がん保険、学資保険が人気
- アメリカ:定期保険、ユニバーサル保険、長期介護保険が主流
- イギリス:クリティカルイルネス保険、所得補償保険の普及率が高い
- ドイツ:年金保険、障害保険の加入率が高い
- 中国:貯蓄性保険商品、子供向け教育保険が急成長
保険販売チャネルの違い
保険の販売方法も国によって大きく異なるようですね~
国名 | 主な販売チャネル | 特徴 |
---|---|---|
日本 | 営業職員、銀行窓販、代理店 | 対面販売が依然として主流 |
アメリカ | ブローカー、オンライン、エージェント | 価格比較サイトの普及 |
イギリス | オンライン、ブローカー | ネット経由の販売が7割以上 |
ドイツ | 専属エージェント、銀行 | 銀行での販売シェアが高い |
中国 | 営業職員、銀行、オンライン | デジタルチャネルが急成長 |
出典: 各国保険協会データ、McKinsey Global Insurance Report 2022
日本の民間保険市場の特殊性
郵便局による保険販売の歴史と影響
日本では1916年に郵便局で簡易保険の取り扱いが始まり、これが日本の保険文化の形成に大きな影響を与えました。
2022年の簡易保険(かんぽ生命)の契約件数は約2,200万件にのぼり、今でも日本の保険市場で大きな存在感を示しています。
死亡保険より生存保険が好まれる傾向
欧米では死亡保障が中心ですが、日本では医療保険や年金保険など「生きるための保険」の人気が高いのが特徴です。
- 日本の生命保険新契約に占める医療保険・がん保険の割合:約40%
- アメリカの生命保険新契約に占める医療保険の割合:約15%
出典: 日本生命保険協会「生命保険の動向」、LIMRA’s U.S. Retail Life Insurance Sales
相互会社形態の保険会社が多い理由
世界的に株式会社化が進む中、日本では日本生命、明治安田生命、住友生命など大手生保が相互会社形態を維持しています。これは契約者を重視する日本の保険文化を反映しています。
国名 | 相互会社の市場シェア |
---|---|
日本 | 約60% |
アメリカ | 約15% |
ドイツ | 約30% |
イギリス | 約5% |
出典: 各国保険協会データ、2022年
自然災害保険の国際比較

地震保険制度の各国比較
地震大国日本の地震保険は、官民共同運営という特殊な形態をとっていることはご存知でしょうか?
国名 | 地震保険の特徴 | 加入率 |
---|---|---|
日本 | 火災保険の特約、官民共同運営、保険金額は建物の50%まで | 約30% |
ニュージーランド | 公的保険(EQC)と民間保険の二層構造 | 約90% |
トルコ | 強制加入制度(TCIP) | 約50% |
カリフォルニア州 | 州営の地震公社(CEA)が提供 | 約13% |
出典: 各国保険協会データ、World Forum of Catastrophe Programmes
日本の地震保険の特殊性
日本の地震保険は1966年の新潟地震を契機に創設され、以下の特徴があります。
- 政府と民間の共同運営(リスク分担)
- 火災保険の特約として販売
- 補償額は火災保険金額の30〜50%に制限
- 全損・大半損・小半損・一部損の4区分で支払い
2011年の東日本大震災では約1兆2,900億円、2016年の熊本地震では約3,800億円の地震保険金が支払われました。
保険文化と国民性の関係
日本人のリスク回避志向と保険加入行動
日本人は「備えあれば憂いなし」のリスク回避志向が強く、これが高い保険加入率につながっています。
ホフステードの文化次元理論による「不確実性回避指数」を見ると…
国名 | 不確実性回避指数 | 特徴 |
---|---|---|
日本 | 92(高い) | リスク回避志向が強い |
アメリカ | 46(中程度) | リスクテイクの文化 |
イギリス | 35(低い) | 不確実性に比較的寛容 |
ドイツ | 65(やや高い) | 計画性重視 |
中国 | 30(低い) | 不確実性に寛容 |
出典: Hofstede Insights, Country Comparison Tool
アメリカ人の自己責任意識と保険選択
アメリカでは自己責任の文化が強く、保険も「自分で選択する」という意識が一般的です。
政府依存よりも自助努力を重視する傾向があり、これが多様な民間保険商品の発展につながっています。
宗教的背景と保険の普及
イスラム教のシャリア法では利子(リバー)が禁止されており、これに対応するためタカフル(イスラム保険)が発展しました。
現在、世界のタカフル市場規模は約300億ドルにのぼり、マレーシア、サウジアラビア、UAEなどで普及しています。
テクノロジーと保険の未来

インシュアテックの国別発展状況
保険×テクノロジーの「インシュアテック」の投資額を見ると、国による差が顕著です!
国・地域 | インシュアテック投資額(2022年) | 代表的企業 |
---|---|---|
北米 | 約80億ドル | Lemonade、Root、Oscar Health |
欧州 | 約30億ドル | Wefox、Alan、Zego |
アジア | 約20億ドル | ZhongAn(中国)、PolicyBazaar(インド) |
日本 | 約2億ドル | Justincase、InsurTech、JDSC |
出典: CB Insights “State of Insurtech 2022”, Deloitte “InsurTech Investment Trends”
健康増進型保険の各国での受け入れ
ウェアラブルデバイスを活用した健康増進型保険は各国で異なる普及状況を見せています。
- アメリカ:John Hancockの「Vitality」プログラムが先駆け
- 南アフリカ:Discovery社の「Vitality」が最も成功
- 日本:住友生命「Vitality」、第一生命「健康第一」などが展開中
- 中国:Ping An保険がAIとビッグデータを活用した健康管理アプリを提供
日本では健康増進型保険の加入者は生命保険全体の約3%程度ですが、アメリカでは約10%、南アフリカでは約20%に達しています。
まとめ
日本の保険制度は、国民皆保険をはじめとする公的保険の充実と、世界トップクラスの民間保険普及率という二つの特徴を併せ持っています。
この「公私二層構造」は日本独自のモデルと言えるでしょう。
世界と比較してみると、日本の保険制度から学べる点として
- 持続可能性の確保
少子高齢化が進む日本の社会保障制度は、同様の人口動態変化に直面する他国にとって参考になる - 官民の適切な役割分担
地震保険などにおける官民共同運営モデルは、巨大リスクへの対応として評価されている - 普遍的アクセスと効率性の両立
日本の医療制度は、比較的低コストで高い医療アクセスを実現している
一方、改善すべき点としては
- デジタル化の遅れ
保険業界のデジタルトランスフォーメーションは欧米や中国に比べて周回遅れ - 年齢間・世代間の公平性
現行の社会保険制度は若年層の負担が重くなる構造 - グローバル競争への対応
日本の保険会社の国際競争力強化が課題
保険は単なる金融商品ではなく、その国の文化、価値観、社会構造を反映する鏡でもあります。世界の保険制度を学ぶことは、異なる社会の在り方を理解することにつながるのです。
日本人として、私たちが当たり前に享受している保険制度の特殊性と価値を再認識し、そのうえで持続可能な制度へと発展させていくことが重要かもしれません!