みなさまこんにちは、いちまるです(*’▽’)
あなたの街にも増え続ける空き家。日本全国で今や約849万戸、実に住宅の7軒に1軒が空き家という驚きの現実をご存知でしょうか。
これはヨーロッパの小国一つが丸ごと空っぽになっているようなものです!!
なぜこれほど多くの家が誰にも使われず放置されているのか。
そこには人口減少、高齢化、相続問題、そして日本特有の「新築信仰」など、複雑な要因が絡み合っています。
今回は、最新データを基に空き家問題の実態と原因を解明し、空き家を「負債」から「資産」に変える具体的方法をわかりやすくまとめてみました♪
数字で見る日本の空き家危機

増加し続ける空き家数
総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年時点で日本全国の空き家数は約849万戸に達し、空き家率は13.6%となっています。これは日本の住宅約7軒に1軒が空き家という衝撃的な状況です。
この数字を時系列で詳しく見てみましょう!
調査年 | 空き家数 | 空き家率 | 総住宅数 |
---|---|---|---|
1978年 | 268万戸 | 7.6% | 3,545万戸 |
1988年 | 394万戸 | 9.4% | 4,201万戸 |
1998年 | 576万戸 | 11.5% | 5,025万戸 |
2008年 | 757万戸 | 13.1% | 5,759万戸 |
2013年 | 820万戸 | 13.5% | 6,063万戸 |
2018年 | 849万戸 | 13.6% | 6,241万戸 |
40年間で空き家数は3倍以上に増加し、この傾向が続けば2033年には空き家率が20%を超えるという予測もあります。
空き家の種類と地域差
空き家と一言で言っても、その内訳は多様です:
- 賃貸用の空き家(431万戸・全空き家の50.8%):賃貸アパートの空室など
- 売却用の空き家(29万戸・全空き家の3.4%):売りに出されている物件
- 二次的住宅(38万戸・全空き家の4.5%):別荘や帰省時にのみ使用する住宅
- その他の空き家(349万戸・全空き家の41.2%):相続した実家など、特に利用予定のない住宅
特に問題視されているのは「その他の空き家」で、2018年の調査では前回調査から8.9%増加しています。これらの多くは管理が不十分で、老朽化が進んでいるケースが少なくありません。
地域別に見ると、空き家率が高いのは以下の都道府県です。
- 山梨県(21.3%)
- 和歌山県(20.3%)
- 高知県(18.9%)
- 徳島県(18.8%)
- 長野県(18.0%)
対照的に、空き家率が低いのはこちら!
- 埼玉県(10.2%)
- 沖縄県(10.4%)
- 神奈川県(10.8%)
- 東京都(11.1%)
- 滋賀県(12.2%)
一般的に、人口減少が進む地方ほど空き家率が高い傾向にありますが、別荘地を多く抱える山梨県や長野県は例外的に高い数値を示しています~
空き家急増の背景要因:データで読み解く
1. 急速に進む人口減少と超高齢化社会
日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じ、2023年には約1億2500万人まで減少しました。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2050年には総人口が1億人を割り込み、約9,700万人になると予測されています。
さらに深刻なのは高齢化の進行です。
- 65歳以上の高齢者が総人口に占める割合:29.1%(2023年)
- 75歳以上の後期高齢者の割合:15.0%(2023年)
- 世帯主が65歳以上の世帯の持ち家率:約82%
高齢者が亡くなった後、相続人が遠方に住んでいたり、複数の相続人で意見が分かれたりすることで、空き家になるケースが急増しています。実際、相続による空き家の発生は全体の約40%を占めるとされています。
2. 日本特有の「新築信仰」の実態
日本では中古住宅の流通率は全住宅取引のわずか14.7%(2023年)で、アメリカの約80%、イギリスの約90%と比較して極めて低い水準です。
この背景には、日本特有の価値観があります。
- 住宅の平均寿命:日本は約30年、アメリカは約66年、イギリスは約80年
- 新築住宅の着工戸数:年間約80万戸(人口減少にもかかわらず高水準)
- 建築後30年で木造住宅の価値はほぼゼロになる「スクラップ&ビルド」の慣行
この「新築至上主義」により、古い家は解体されずに残ったまま新しい家が建設される状況が続いています。ある調査では、住宅購入者の約78%が「新築希望」と回答しており、中古住宅市場の発達を妨げる要因となっています。
3. 相続問題と維持管理の複雑さ
親から相続した実家の処遇に悩む「実家問題」が社会課題となっています。
- 相続した実家を売却・賃貸等に活用していない割合:約70%
- 相続した実家の維持管理費用:年間平均約20万円(固定資産税、修繕費、保険料等)
- 相続から空き家になるまでの平均期間:約3.9年
相続した実家を空き家のまま放置する主な理由は…
- 感情的な理由:「思い出の詰まった実家を手放したくない」(約42%)
- 将来的な利用予定:「いずれ戻るかもしれない」(約29%)
- 合意形成の難しさ:「相続人間で意見が合わない」(約22%)
- 税制上の理由:「更地にすると固定資産税が上がる」(約17%)
- 売却困難:「売りたいが買い手がつかない」(約15%)
さらに、相続時に発生する名義変更や登記の手続きの煩雑さも空き家増加に拍車をかけています。2024年の民法および不動産登記法の改正で相続登記が義務化されましたが、その効果はまだ限定的です。
4. 地方から都市部への人口移動と地域格差
地方の人口減少と東京圏への一極集中は空き家問題を加速させています。
- 東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への年間転入超過:約10万人(2023年)
- 地方部における15~29歳の若年層の流出率:平均約15%
- 地方における住宅着工数の減少率:過去10年で約25%減
特に過疎地域では、若者の流出により集落全体が空き家だらけになる「限界集落」が増加。国土交通省の調査によると、過疎地域の一部では空き家率が40%を超える地域もあります。
空き家がもたらす深刻な社会問題

空き家の増加は様々な社会問題を引き起こしています。
1. 安全・防犯上の問題
- 倒壊リスク:老朽化した空き家の倒壊事故は年間約100件発生
- 火災発生率:管理されていない空き家からの出火率は一般住宅の約4.6倍
- 不法侵入・犯罪:空き家周辺では不法投棄や犯罪発生率が約1.7倍高まる
2021年、台風による強風で管理されていなかった空き家の屋根材が飛散し、近隣住宅に大きな被害が発生した事例(北海道)もあります。みなさまも関係ないではすまないかもしれません。
2. 経済的・資産価値への影響
- 周辺地価への影響:空き家が10%増加すると周辺地価が約2.1%下落するという研究結果
- 行政コストの増加:自治体による空き家対策費用は全国で年間約500億円以上
- 固定資産税の減収:管理不全の空き家による税収減は年間約200億円と推計
ある地方都市では、中心市街地の空き家率が30%を超えたエリアで10年間で地価が約40%下落(国土交通省調査)したとのデータもございます。
3. コミュニティ・環境への影響
- 景観の悪化:空き家の外観劣化による観光地への悪影響
- コミュニティの崩壊:自治会活動や地域行事の担い手減少
- 環境問題:雑草の繁茂、害虫・害獣の発生(特にシロアリ被害が深刻)
かつて観光地として栄えた温泉街で、空き家・空き旅館の増加により観光客が10年間で半減した事例(中国地方)があります。
空き家対策の最前線:法整備と自治体の取り組み
1. 空き家対策特別措置法の概要と効果
2015年5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」の主な内容を簡単にまとめました!
- 特定空家等の指定:周辺に悪影響を及ぼす空き家を「特定空家等」に指定
- 行政指導と勧告:改善命令から最終的には行政代執行(強制解体)が可能に
- 税制措置:特定空家等に指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除(税額が最大約6倍に)
- データベース整備:自治体による空き家の所有者情報収集が容易に
法律施行後の効果としてはこちらがあげられるでしょう。
- 特定空家等の指定件数:全国で約2.2万件(2023年時点)
- 行政代執行の実施件数:約800件(2023年時点)
- 特例解除による固定資産税増収:年間約40億円
2. 注目すべき自治体の革新的取り組み
京都市「空き家活用×まちづくり」モデル
- 町家などの歴史的建造物を活かした観光・商業施設への転用を支援
- 改修費用の最大50%(上限500万円)を補助
- 成果:過去10年間で約450件の町家が再生・活用
鳥取県「とっとり空き家バンク」
- 県と市町村が連携した広域空き家バンクの構築
- 移住希望者向けの「お試し住宅」制度と組み合わせ
- 購入・改修費用の支援(最大300万円)
- 成果:過去5年間で約1,200件の空き家が活用
東京都足立区「老朽家屋等解体除却費補助」
- 危険な空き家の解体費用を最大200万円補助
- 解体後の土地活用(駐車場、緑地等)への支援も実施
- 成果:区内の特定空家等を5年間で約40%削減
空き家を「負債」から「資産」へ転換する戦略
1. リノベーションによる賃貸・売却戦略
空き家をリノベーションして資産価値を高める方法を具体的に解説します。
投資効果の高いリノベーション
- キッチン・バス・トイレの刷新:投資回収率約80%
- 外壁・屋根の修繕:投資回収率約70%
- 断熱性能の向上:投資回収率約65%(光熱費削減効果も)
活用すべき補助金・税制優遇
- 国土交通省「空き家対策総合支援事業」:改修費用の最大1/2(上限100万円/戸)
- 住宅金融支援機構「リフォーム融資」:金利1.07%〜(2024年3月現在)
- 所得税の特例措置:耐震・バリアフリー・省エネリフォームによる控除(最大控除額62.5万円)
成功事例
30年以上空き家だった古民家を500万円でリノベーション。月額8万円で賃貸し、年間利回り約10%を実現した事例(島根県)があります。
2. 多様な活用方法と収益化モデル
民泊・ゲストハウス
- 収益性:都市部で年間収益率10〜15%、地方観光地で8〜12%
- 初期投資:平均600万円〜1,200万円
- 規制:住宅宿泊事業法(民泊新法)の年間営業日数上限(180日)に注意
- 成功ポイント:ターゲット層の明確化(インバウンド、ファミリー、ビジネス等)
シェアオフィス・コワーキングスペース
- 収益性:都市部で年間収益率8〜12%
- 初期投資:平均800万円〜1,500万円
- 需要増加:テレワーク普及で郊外・地方でも需要拡大
- 成功ポイント:高速Wi-Fi環境、会議室、カフェスペースの充実
コミュニティスペース・地域交流拠点
- 収益性:直接的な収益は低いが、補助金活用で初期投資を抑制可能
- 社会的意義:地域活性化への貢献
- 副次的効果:周辺不動産価値の維持・向上
- 成功ポイント:地域ニーズの把握と多目的利用(カフェ、教室、イベント等)
3. 空き家を手放す選択肢と税制対策
所有し続けることが難しい場合の選択肢を解説します。
売却のタイミングと価格設定
- 売却適時:相続直後が最も売却しやすい(解体前が原則)
- 価格査定:複数の不動産会社による査定を比較(最大で30%の差)
- 売却戦略:「再生可能物件」としての価値訴求が効果的
解体して土地活用
- 解体費用:木造一戸建て平均150万円〜300万円
- 更地にした場合の税負担増:固定資産税・都市計画税が約6倍に
- 代替活用:駐車場(年間利回り3〜8%)、太陽光発電(年間利回り5〜10%)
寄付・譲渡の選択肢
- 自治体への寄付:受入条件が厳しく、原則更地にする必要あり
- NPO等への無償譲渡:地域活性化目的の団体が受け皿に
- 税制上の注意点:寄付しても固定資産税等の納税義務は消滅しない
相続対策としての空き家活用
- 3,000万円特別控除の活用:相続空き家の売却益に対する特例
- 小規模宅地等の特例との使い分け:最大限の節税効果を得るための戦略
- 二次相続を見据えた対策:次世代への資産移転を考慮した空き家対策
専門家視点:空き家問題解決に向けたロードマップ

個人レベルでの対応フローチャート
- 現状把握・評価
- 物件の状態チェック(建物診断、耐震診断)
- 市場価値の評価(複数の不動産会社による査定)
- 維持コスト試算(固定資産税、修繕費、保険料等)
- 選択肢の比較検討
- 保有継続:利用目的の明確化
- 活用:賃貸、民泊、シェアスペース等
- 売却:全部または一部売却
- 解体:更地化による税負担増を考慮
- 実行計画の策定
- 初期投資額の試算と資金計画
- 収支予測と投資回収期間の試算
- リスク分析と対策(空室リスク、価格変動リスク等)
- 専門家チームの編成
- FP:総合的な資産設計と税制対策
- 宅建士・不動産鑑定士:市場価値評価と売買戦略
- 建築士:リノベーション計画と費用見積り
- 税理士:相続税対策と収益化時の税務対策
これからの空き家対策:成功する人、失敗する人
成功パターン
- 早期対応型:相続直後に迅速な意思決定と行動
- 専門家活用型:複数の専門家の知見を組み合わせた総合的対策
- 地域特性活用型:その地域の需要や特性を活かした活用法選択
- 長期視点型:短期的収益だけでなく資産価値の長期的維持を重視
失敗パターン
- 先送り型:「いつか何とかなる」と対策を先延ばし
- 感情優先型:経済合理性より思い出や愛着を優先して判断
- 情報不足型:市場価値や活用可能性の調査不足
- 独断型:専門家の助言を求めず自己判断のみで対応
まとめ
最新データを基に空き家問題の実態と原因を解明し、空き家を「負債」から「資産」に変える具体的方法をまとめてみましたが、いかがでしたしょうか?
空き家問題は日本社会の構造的変化を反映した深刻な課題ですが、個人レベルでは「負担」を「資産」に転換する発想が重要です。具体的データと多様な選択肢を理解し、地域や物件の特性に応じた最適な対策を講じることで、空き家問題を自身の資産形成チャンスに変えることが可能です。
FPとして、空き家対策は単なる不動産問題ではなく、家族の歴史や感情、相続対策、資産形成など多面的な要素を含む総合的なライフプランニングの一部であると考えます。早期の対応と専門家の適切なサポートが、この課題解決の鍵となるでしょう。